極北カナダ・ユーコン準州より、野生動物の撮影活動や極北での暮らしについて綴っています。

2011年6月7日火曜日

ビーバー解体

二週間ほど前になりますが、縁あって先住民の方に罠猟で捕まえたビーバーの解体を見せて頂く機会を得ました。
いつかは見てみたかった野生動物の解体ですが、ようやくその一部始終を間近で観察することが出来ました。

【重要!】
まず最初に、血に弱い人、グロテスクなものは苦手という人は読み進まないで下さい。気分が悪くなられても私は一切責任を持てませんので自己責任でお願いします。




さて、こちらが捕れたてビーバー。2匹捕まえたそうです。

大木をもかじり倒す立派な前歯。黄色いです。

屋内に運ばれ解体を待つビーバー。


まず最初、どこから始めるのか気になるところですが、答えは手足を外すことからでした。




彼らの間では、このビーバーの手足を赤ん坊に結び付けるのだそうです。ビーバーは朝から晩までとてもよく働くので、働き者に育つようにとのおまじないみたいなものだそうです。

外された手足。立派な水掻きがあります。

次は仰向けにされ、下唇から股まで皮だけを切り開きます。


そして特殊な形をしたナイフとヘラでこそげ取るように皮を剥がしていきます。




ここで使われているヘラはムース(ヘラジカ)の骨だそうです。


パートナーも加わり見る見るうちに皮が剥がされていく。


顔の皮も剥がされる。黒い目玉と耳の穴も確認できた。



ついに尻尾以外全ての皮を剥がされた。

そして頭部切断。


頭と尻尾も外された。


前歯の長さに注目。凄く上から生えています。

屋外に移り開腹。



 ついに内臓も取り出された。



皮は売るそうですが、今はあまり良い値では売れないそうです。
肉は当然食用です。次の機会には是非食べてみたいです。

ユーコンに移り住んで一年少々、ようやくユーコンらしい貴重な体験をさせて頂きました。
この解体の工程を見て何を思い何を感じるかは人それぞれです。
私はこの経験から『生きる』ということは『他の命を頂くこと』の上に成り立っているのだという当たり前のことをリアルに感じることが出来たと思います。
解体の現場には二歳四ヶ月の私の娘もいました。見せるべきかどうか一瞬考えましたが、先住民の子どもたちはこういう事を目の当たりにしながら育つわけで、本来当たり前のことなのだから見せることにしました。反応次第では見せるのを止めるつもりで。。。
結果、娘は平気で見ていましたし、「ビーバー!ビーバー!」と連呼していました。
解体されていく様を見て『痛そう』だとか『残酷』だとか『気持ち悪い』とか思うのは大人だけなんでしょう。スーパーでパックに入って売られている肉は平気なのに解体の様子は気持ち悪いなどと言うほうが『不自然』です。物心付く前の子どもにはそういう概念がありませんし、小さいうちからこういう事を見せられる環境に暮らせていることに改めて感謝しています。

2 件のコメント:

  1. ビーバーの解体は始めてみました。
    貴重な記事ありがとうございます。

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  2. ビーバーってどうやって(どんなワナで)捕獲するんですか?

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