極北カナダ・ユーコン準州より、野生動物の撮影活動や極北での暮らしについて綴っています。

2011年9月15日木曜日

Fall Colors in the Yukon

今年の夏は天気が悪く、やたらと雨ばかり。。。しかも私が時間のある時に降ることが多く、やりたいことが山ほどあるのに遅々として進まないもどかしい夏でした。
そしてここ北緯60度の地では季節は既に秋。紅葉の見頃も過ぎてしまいました。

ここ最近の様子をまとめてお伝えします。

8月末、家族でドーソンという町まで旅行に行ってきました。
ドーソンはホワイトホースから更に500kmほど北に位置するゴールドラッシュの時代に栄えた町です。
当時のままの歴史的建物やカジノなどがこの町の観光の売りなのですが、我が家の目当てはドーソンの更に北に位置するトゥームストーン州立公園【Tombstone Territorial Park】。ここ数年知名度が上がってきたツンドラの原野広がる美しい大地。私にとっては実に5年ぶりであり、ユーコンに住みたいと真剣に考えるようになったきっかけの地なのです。

Tombstone Territorial Park

5年前はこの界隈に長期で滞在し、8月下旬が紅葉のピークだったので、今回も同時期を狙って行ったのですが、冷夏だったせいかピークは早かったようで既に茶枯れた色が混じり始めていました。
ホワイトホースからの道中は快晴だったものの、トゥームストーンを訪れた日は生憎の曇り空。期待していた野生動物にもほとんど出会えず(リスと雷鳥のみでした)がっかり。
ユーコンに住むようになったとはいえ住んでいる町から500km以上離れているためそうそう来られる場所でもないので残念でしたが、この地に対する思いを再確認することが出来ました。来年また必ず訪れたいと思います。

さて、彼の地より南に位置するホワイトホースでは先週辺りが紅葉のピーク。町中の木々は黄葉し、町を取り巻く山の上のツンドラは赤・オレンジ・黄色と色とりどり。先週時間を見付けて近場の山を登ってきました。家から車で30分ほどで登山口【Trail Head】に着き、登ること約1時間で森林限界【Tree Line】を超え高山ツンドラ地帯【Alpine Tundra】へ。



稜線まで登ると町からは見えない向こう側の景色が眼前に広がりました。

Bonneville Lakes and Boundary mountain ranges
家から1時間半でこの景色…自分が如何に素晴らしい場所に住んでいるのかを再確認。来夏はテント背負ってもっと奥まで分け入りたいと思います。





この時も出会えたのはリスと雷鳥【Ptarmigan】のみでした。

Ptarmigan

先週末は私と同じく野生動物写真家の友人とバイソンの撮影に出掛けました。この日は珍しく雲一つ無い超快晴。生息密度の高い地域なので期待して行きましたが…結果は今回も空振り。友人がブッシュの陰に角を見たのみで撮影に至りませんでした。ハンティング・シーズンなので彼らも警戒しているのでしょうか?動物たちも馬鹿ではないので猟区では明らかに人間を警戒している様子がわかります。

キャンプしながら深夜まで友人と語り合っているとやがて満月が昇り、オーロラが見え始めました。私はオーロラを撮る為にわざわざ出掛けるほうではありませんが、目の前に出ていればやはり撮りたくなるもの。そして今回がデジタルでのオーロラ初撮影でした。高感度に強いことが売りの私の新しいデジイチ。フイルム時代と勝手が違うので最初は試行錯誤でしたがなんとか撮れました。今の時期はまだ雪もなく、高感度に強いデジタルゆえ黄葉も写し込むことが出来ました。

Northern Lights at Aishihik Lake

フイルムの時代には暗く潰れていた部分まで写ること、肉眼で見えていない部分まで写ってしまうことに違和感を感じつつ、それが時代であり、これが新しい可能性を開くのかもしれないのだと、前向きに受け入れていくことにします。既にあるイメージが膨らみつつありますが、多くの条件が揃わないと撮れないカットなので腕を磨きつつ大事に温めていきたいと思います。


北の大地の短い夏はあっという間に通り過ぎてしまいました。短いことは残念ですが、短いが故に短期間に爆発するかのような極北の夏の生命の輝きが大好きです。今夏は天候が悪かった分、今から来夏を心待ちにしつつ、長い冬に向け気持ちを切り替えていきます。雪の世界にひっそりと、しかし力強く生きる動物たちの姿もまた美しいので、極寒の中での動物撮影術を向上すべくいろいろと思案中です。